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愛犬の寿命を延ばす5つの習慣|研究でわかった体重・食事・絆の効果

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リビングのマットに伏せて、こちらをそっと見上げるキャバプーの茶々丸

恥ずかしい話をします。私は数年前まで、犬がほんとうに苦手でした。

子どもの頃、近所で大型犬に追いかけ回された記憶がいつまでも体に残っていて、道で犬とすれ違うだけで体がふっとこわばって、知らないうちに一歩、二歩、後ずさってしまう。そういう小心な人間でした。

そんな私が、いまは毎晩、寝室で、愛犬の茶々丸(キャバプーの女の子、もうすぐ二歳)のお腹に手を当てて、「五十年生きてね」と真顔でつぶやいています。

五十年。冷静に書くとばかげています。茶々丸はキャバリアとトイ・プードルの混血で、いくら長寿傾向と言われても、五十年なんて無理に決まっているのに。それでも、毎晩、しんとした寝室で、五十年、五十年、と祈っています。我ながら、どうかしていると思います。それでも、止められません。

茶々丸は、私の人生で初めて迎えた犬です。だからなのか、一緒に過ごす一日一日が、うっかり貴重に感じられてしまうのです。気持ちだけで寿命が延びるなら、私はとっくに茶々丸を百歳にしています。気持ちでは、無理。だから、調べることにしました。海外の獣医学研究、大規模な追跡調査、英語の専門誌——夜な夜な格闘するうちに、ようやくいくつか確かなことが見えてきました。愛犬の寿命は、飼い主の日々の習慣で大きく変わる。 14年間の追跡研究では、体重管理だけで平均寿命が1.8年(約15%)延びた、と報告されているそうです。

この記事には、その研究の数字と、わが家の小さなしくじりを、ぐちゃぐちゃに混ぜて書きます。役に立つかどうかはわかりません。役に立つようには、書きます。

この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断に代わるものではありません。 愛犬の健康に不安がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

50年は無理でも——犬の寿命はどこまで延ばせるのか?

まず、現実の数字から見ていきます。冷たい数字ほど、残酷で、ありがたい。

日本の犬の平均寿命は、近頃は十五歳前後と言われています。昔よりずいぶん延びている。獣医療の進歩と、飼い主の意識の変化が背景にあるのだと思います。たぶん。

ただ、これはあくまで全犬種をならした、ぼんやりした数字でしかありません。実際は、犬種や体格で、平気で何年もの差が出るそうです。

2024年に Nature の Scientific Reports に掲載された大規模研究(McMillan et al.)は、イギリスの五十八万四千頭余の犬のデータから、犬種ごとの寿命を出していました。それによると——

体格・頭部形状寿命の中央値代表犬種
小型・長鼻13.3年シェルティ、ミニチュアダックスなど
中型・中間12.5年前後柴犬、コーギーなど
中型・短頭9.1〜9.6年ブルドッグ、フレンチブルドッグなど

小さくて鼻が長い犬ほど、統計上は長生きで、短頭種ほど短命の傾向があるそうです。

私が驚いたのは、別のところで。「雑種は純血種より長生きするはずだ」というのが、なんとなく世間の常識のようになっていますが、この論文では、純血種の中央値が12.7年、交雑種が12.0年。むしろ、わずかに、純血種のほうが長いんです。論文の著者自身も「過去の研究と異なる結果だ」と書いていて、つまるところ雑種と純血種の寿命差については、研究によって結論が割れている、というのが現状らしいのです。世間の常識というのは、案外、頼りないですね。

茶々丸はキャバリアとトイ・プードルの混血。キャバリアには心臓疾患のリスクが知られていますし、トイ・プードルは比較的長寿傾向の犬種だと聞きました。どちらの血筋がどう影響するのか、私にはまるで見当もつきません。

でも、犬種というのは、しょせん配られたカードです。ここから先は、飼い主の手の中の話。配られたカードで、どこまで戦えるか、というそれだけのことなんだと思います。

仮に中央値の十三年として、ある日、茶々丸の残り時間をスマホの電卓でこっそり計算してみたことがあります。私が何歳のとき、茶々丸はこの世界からいなくなるのか——出てきた数字を、しばらく見つめていました。思っていたよりずっと、ずっと、早い。電卓を閉じる手が、少し震えました。この一日が、たぶんその数字をひとつ、書き換えるのです。

体重管理が"最強の長寿習慣"と言われる理由は?

犬の寿命研究のなかで、いちばん有名な——そして、いちばん残酷な——データを出しているのが、Purinaが14年間にわたって行った追跡研究(Kealy et al., 2002, JAVMA 掲載)です。

ラブラドール・レトリバー四十八頭を二群に分けて、片方には通常量の食事、もう片方には25%のカロリー制限。これを十四年間。結果はこうでした。

グループ平均寿命股関節形成不全の発症
通常食11.2年50%が発症
カロリー制限(やせ型維持)13.0年発症率が約半分に

差、1.8年。犬の一生がだいたい十一から十三年だとすれば、人間で換算して、十年に相当します。しかも、やせ型を維持したグループは、慢性疾患の発症が、明らかに遅かった。私はこの数字を見て、しばらく絶句しました。「太らせるのは、罪だな」と、本気で思いました。

なぜ太ると寿命が縮むのか。余分な脂肪組織は慢性の炎症を起こし、関節・心臓・肝臓に毎日、しずかに負担をかけ続けるそうです。目に見えない、毎日の、ささやかな破壊。

日本の室内犬にとって、肥満リスクはすぐ隣にあります。散歩以外の運動機会が乏しくて、おやつ文化は根づいていて、「ぽっちゃりがかわいい」というある種の同調圧力までついてくる。

私はと言いますと——白状しますが——仕事の合間に茶々丸が寄ってきて、足元から、つぶらな目で、じっと、私を見上げる、あの瞬間にもう、駄目になります。「もうひとつだけ」と、つい、おやつを差し出してしまう。家で仕事をしていると、いちいち目が合うんです。逃げ場、というものがない。あの上目づかいに勝てる飼い主がいるなら、ぜひコツを教えてほしいくらいです。

これではいかん、これではいかん、と、Purinaの研究を読んだ翌日に、私は新しいペット用体重計を買ってきました。月に一度、茶々丸を計量することにして、わが家ではささやかな協定が結ばれました。「茶々丸が二百グラムでも増えていたら、おやつを三日間、断つ」。これです。協定はしばしば破られます。それでも、結ばないよりはまし。たぶん。

体重計に乗るのは、ほんの数秒。でもその数秒が、「太ってきた気がする」という頼りない感覚を、「200g増えていた」という確かな数字に翻訳してくれます。これは、ばかにならない、生活の知恵だと思います。

ご自宅でできる目安として、BCS(ボディコンディションスコア)というのがあるそうです。かかりつけの獣医さんに教わった簡易チェックを、メモしておきます。

  • 肋骨を指で軽く触ったとき、脂肪越しにうっすら感じられるのが理想(触れないほど厚い脂肪があれば肥満傾向)
  • 真上から見て、腰にくびれがあるか
  • 横から見て、お腹が地面と平行ではなく少し引き締まっているか

三つとも「問題なし」なら適正体重。ひとつでも気になったら、フードの量を、ちょっと見直す合図、ということになります。

食器を毎日洗うのは本当に意味がある?

これは、私がながらく、ひそかに気にしていたことです。

茶々丸のフードボウル。私は毎晩、必ず、洗います。ただし、洗剤は、使わない。

これにはそれなりの、信念のようなものがあるのです。最初の頃に試したら、洗剤の匂いを茶々丸がわずかに嫌がりました。「気のせいかな」と思いつつ、犬の嗅覚は人間の数千倍と言いますし、人間にはほのかな残り香でも、彼らには別物のはず。それで、私はある日、決意しました。「洗剤を、断つ」。決意というほどでもないんですが、わが家にとってはちょっとした改革でした。

代わりに使っているのが、メラミンスポンジ(俗に「激落ちくん」と呼ばれているあれです)と、沸騰したての熱湯。

水でざっと流したあと、メラミンスポンジでボウルをぐるりと擦ります。すると、洗剤でも落ちにくかった、あのヌメヌメ(バイオフィルムというものらしいです)が、気持ちのよいくらいぽろりと取れる。それから、沸かしたばかりの湯をジャッとかけて、少し冷ましてから、ドライフードを入れる。ドライフードだと水分補給も兼ねられるので、茶々丸には食事のタイミングでお湯ごと水分も摂ってもらう、というやり方です。

これで本当にいいのか、私はながらく半信半疑でした。論文の世界に「洗剤断ち」「メラミンスポンジ派」を弁護してくれる人なんて、まさかいないだろう——と思いながら読み進めていったら、私は自分の流儀に、ある種の、しょうもない自信を取り戻したのでした。

2022年に PLOS ONE に掲載された Luisana et al. の研究は、飼い主のペットフード衛生についての認知と行動を調査しました。驚いたのは、FDAが出しているペットフード衛生ガイドラインの存在を知っていた飼い主が、たったの4.7%だったこと。そして衛生プロトコルを長期的に守り続けていた飼い主は、わずか8%。なんと、世のおおかたの飼い主は、食器の衛生に対して、けっこう無頓着だったんです。

この研究で特に注目されていたのが、71.1°C以上の熱湯で洗浄すると、細菌数が有意に減少する(p値 0.01未満)という結果。沸騰したての湯は百度。私が使っているのは、まさにそれ。

つまり、わが家の「メラミンスポンジ+熱湯」方式は、洗剤こそ使っていませんが、殺菌の観点では研究の基準をいちおう上回っている計算になります。私はこれを知ったとき、ひそかに、腕を組んで頷きました。「やはり、私の流儀はまちがっていなかった」と。それで夜中の台所でひとり、誇らしげな顔をしていたのですから、あとから思えばばかみたいです。

とはいえ、過剰におびえる必要もない、と研究は言っています。日常的にきちんと洗えば、細菌の蓄積は防げて、胃腸トラブルのリスクも下がる。それで充分。特にウェットフードの場合は、食べ残しに菌が繁殖しやすいので、食後すぐに洗うのが望ましい、とのこと。

実践はこんな具合です。

  • 毎日洗う(洗剤+お湯でも、熱湯+メラミンスポンジでも、食洗機でも。要は「熱」と「物理的な除去」を組み合わせる)
  • ウェットフードの食べ残しは放置しない
  • 素材はステンレスかセラミックが理想(プラスチックはメラミンスポンジで擦ると傷がつきやすく、そこに菌がたまりやすい。私がステンレスを選んだのも、この理由)
  • 水入れも毎日交換して洗う

ちなみに、Luisana et al. の数字を当てはめると、毎日洗っている私は、上位5%ほどの「衛生的な飼い主」、ということになります。「上位5%」。そう書くと、なんだか、自分が立派な飼い主のように思えてきます。気のせいなんですが。

犬に絶対あげてはいけない食べ物は?

「犬も食べられるんでしょ?」という、悪気のない、たったひとつの善意の言葉が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。

Frontiers in Veterinary Science に載ったレビュー論文(Cortinovis & Caloni, 2016)は、犬と猫にとって有害な家庭内食品を、網羅的にまとめてくれています。特に危険度が高いものを、表にしました。

食品危険成分主な症状補足
タマネギ・ニンニク・ネギ類有機チオ硫酸化合物溶血性貧血体重1kgあたり15〜30gで血液学的変化
ぶどう・レーズン未特定(酒石酸の可能性)急性腎不全個体差が大きく安全量の特定不能
キシリトールキシリトールそのもの低血糖・肝障害体重1kgあたり0.03gで低血糖のリスク
チョコレートテオブロミン嘔吐・不整脈・痙攣ダークチョコが最も高濃度
マカダミアナッツ未特定嘔吐・運動失調・後肢虚弱体重1kgあたり0.7gで発症報告

このなかで、日本の家庭の食卓で、特に、ややこしいのが、ネギ類です。

タマネギやネギの毒性は、加熱しても、消えません。Cortinovis & Caloni のレビューでも、その点は、はっきり明記されていました。何が怖いかというと、日本の食卓には味噌汁、カレー、肉じゃが、親子丼——タマネギ・ネギ族が、ことごとく登場する。「うちは生のタマネギはあげていません」と胸を張る飼い主さんが、味噌汁の残り汁を冷ましてあげていたり、鍋の残り汁をフードにかけていたりする。何気ない優しさが、犬にとっては毒物の摂取になりうる。これは、ぞっとします。

ぶどうとレーズンも、また難物です。原因物質はいまだに完全には特定されておらず、個体差が極端に大きいそうです。「前に食べて平気だったから」は、まったく通用しない。安全量というものが存在しない以上、一粒もあげない、というのが、いちばん安い保険ということになります。

——これに関して、私には忘れがたい、ある一場面があります。

数年前、茶々丸を連れて実家に帰省したときのこと。みんなで食卓を囲んで、デザートにぶどうが出ました。母が一粒、茶々丸の方に、にこにこと差し出したんです。「茶々丸も、食べる?」。

私は椅子から立ち上がりかけて、

「それは、絶対、ダメ」。

と、声が、思いのほか強く出てしまいました。母は、ぴたりと手を止めて、目を、ぱちぱち、と瞬きしました。場が、しんと、静まりました。「あら、そう」。母は、つぶやくように、そう言いました。

家族には、なんの悪気もないんです。ぶどうの毒性なんて、知らないんだから、当然です。私は気まずさを取り繕いながら、「最近、ぶどうって、犬にダメらしいんだよ」と、しどろもどろの説明をしました。場の空気はすぐに戻って、母は別のデザートを差し出して、茶々丸はそれをにこにこ受け取りました。

それでも、あの瞬間。もし私に、知識がなかったら——と、いまでも、たまに、ぞっとします。犬の食中毒というのは、劇的な事故というより、こうした、何気ない、日常の延長線で、ふっと起きるものらしいんです。だから、念のため、知っておく。それだけが、いまのところ、私たちにできる、唯一の対処なんだと思います。

避妊・去勢は寿命に影響するのか?

これはセンシティブな話で、簡単に「したほうがいい」「しないほうがいい」と言えるものではありません。それでも、寿命に直接関わるデータがある以上、触れずにすますのは、不誠実だと思います。

2013年、ジョージア大学の Hoffman et al. が PLOS ONE に発表した研究は、四万百三十九頭の犬の死亡記録を、丹念に分析しています。結果は——

区分平均死亡年齢寿命延長率
未手術7.9歳
手術済み(オス)9.4歳+13.8%
手術済み(メス)9.4歳+26.3%

メスのほうが、手術による寿命延長効果が大きい。子宮蓄膿症や乳腺腫瘍といった、生殖器系の疾患のリスクがなくなるからなんでしょう。

その一方で、手術済みの犬では、ガンや自己免疫疾患のリスクが上がる、という報告もあるそうです。早期に手術するか、成長を待ってからにするか。犬種、体格、暮らし方によって、最適なタイミングは、ずいぶん変わってきます。

茶々丸は、避妊手術を済ませています。獣医さんと話し合って、子宮蓄膿症のリスクを下げることを優先しました。

手術前夜は、じつのところ、私は眠れませんでした。「私は、この子の体に、メスを入れる決断をしたんだ」。そう思うと、なんともいえない罪悪感のようなものが、ざわざわと、胸の奥でうずくんです。「これでよかったのか」「ほんとうによかったのか」。何度も自問しました。それでも、結局、答えは出ませんでした。

術後、エリザベスカラーを嫌がって暴れる茶々丸を、私は抱きしめて、何度も「ごめんね、ごめんね」と、つぶやきました。茶々丸は、ぐすぐすと、鼻を鳴らして、私の腕の中で、しばらく、じっとしていました。その夜、私は寝室で、ひとり、鼻をすすっていました。茶々丸はエリザベスカラーをかじろうとしては、ぼんやり私の顔を見て、また前足を舐めていました。どっちが大げさかは、言わずとも知れています。

正解だったのかどうかは、いまも、わかりません。データを見て、獣医さんと話して、私の頭で出した、ひとつの答えだった、というそれだけのことです。

私はそうしました。あなたの愛犬にとって何がいいかは、信頼できる獣医師さんと、いちど、ゆっくり話してみてください。

"犬友"がいる犬は長生きする?社会的つながりと寿命の意外な関係

ここまでの四つは、食事や医療など、身体的な要因の話でした。最後の一つは、すこし毛色のちがう、不思議なデータです。

Dog Aging Project という、五万頭以上の犬を登録する世界最大規模の犬の加齢研究があります。その一環として、2023年に Oxford の学術誌に発表された論文(McCoy et al.)が、二万一千四百十頭のデータを分析して、犬の健康と社会的環境の関係を調べたそうです。

結論は、ちょっととんでもないものでした。犬の健康に対する社会的サポートの影響は、経済的要因の、五倍だったというんです。

高級なフード、最新の医療——もちろん、それも大事です。それ以上に、犬の健康に効いていたのは、他の犬や人間との社会的なつながりの豊かさのほうだった、と。他の犬と一緒に暮らしている犬は健康状態が良い傾向にあって、飼い主との関係の質も犬のウェルビーイングに直結していた。そう書いてありました。

私は、家で仕事をしている日が多いんです。茶々丸が来るまでは、「一日中、誰ともしゃべらない日があるなあ」と、ぼんやり思っていました。茶々丸が来てから、ちがいます。私は毎日、誰か(茶々丸)に話しかけている。「朝ごはん食べる?」「散歩行く?」「だから、そこ、噛まないで」「もう一回言うけど、そこは、噛まないでってば」。話の中身というのは、いつまで経っても、くだらない。それでも、声を出している時間が、明らかに、増えました。

おかげで、私自身が、なんだか、少し、健康になった気がします。たぶん、その分、茶々丸にもなにかしら、戻っているんでしょう。

この論文を読んだ夜、いつもの「五十年生きてね」が、すこしだけ、違う意味を持った気がしました。

毎晩、茶々丸のお腹に手を当てて、体温を感じながら、「五十年」と口の中でつぶやく数秒間。私はこれを、ずっと、自分ひとりの自己満足だと、決めつけていました。でも、社会的なつながりがほんとうに犬の健康に効いているなら——あの数秒間も、ほんの、ほんのちょっとだけ、茶々丸の長生きに貢献しているのかもしれない。

そう思うと、夜の寝室がなんだか、神妙な、儀式の場のように見えてきます。私は今夜も、茶々丸のお腹に、しずかに手を当てます。そしてつぶやきます。「五十年、生きてね」。茶々丸は、寝ています。私の祈りは、たぶん、届いていない。

それでも、つぶやくんです。

まとめ

五十年は、無理。これは、もう、論をまちません。犬の時間というのは、人間より、ずっと、ずっと、早く進むんですから。

でも、この記事で見てきた五つの習慣——体重管理、食器の衛生、危険な食べ物の回避、避妊去勢の適切な判断、そして社会的つながり——は、どれも、特別な道具も、高額な費用も、要らないものです。毎日の体重チェック。食器を、お湯で洗うこと。食卓でぶどうを、止めること。獣医さんと、ちゃんと話すこと。犬友と、遊ばせてあげること。そして、夜、お腹に手を当てて、おやすみを言うこと。

1.8年。数字としては、地味かもしれません。でも、犬と暮らす人間にとっての1.8年は、途方もなく、ながい。朝の散歩が、六百五十七回分。おかえりの尻尾振りが、六百五十七回分。一緒に過ごす夜が、六百五十七夜分。書き出してみると、なんだか、急に、たいへんな宝物のように、思えてきます。

SiPPO Friendsの健康管理機能で体重の推移を残しておくと、「最近、ちょっと太ったかも」という曖昧な感覚を、数字で確認できます。食事や便の記録もまとめて管理できるので、まずは、月に一度の体重から、始めてみてください。

数年前まで犬が苦手だった私が、今夜もまた、茶々丸のお腹に手を当てて、「五十年、生きてね」と、つぶやくんでしょう。茶々丸は、いびきをかいて、聞いてはいない。それでも、つぶやく。五十年は無理でも、一日でも、ながく。その「一日」を、毎日、こつこつ、積み重ねていくこと——たぶん、それが、飼い主にできる、いちばん地味で、いちばん確かなことなんだと、私は今夜も、自分にそっと、言い聞かせています。

出典・参考文献

  1. Effects of diet restriction on life span and age-related changes in dogsJournal of the American Veterinary Medical Association
  2. Survey evaluation of dog owners' feeding practices and dog bowls' hygiene assessment in domestic settingsPLOS ONE
  3. Household Food Items Toxic to Dogs and CatsFrontiers in Veterinary Science
  4. Longevity of companion dog breeds: those at risk from early deathScientific Reports
  5. Social determinants of health and disease in companion dogs: a cohort study from the Dog Aging ProjectEvolution, Medicine, and Public Health
  6. Reproductive Capability Is Associated with Lifespan and Cause of Death in Companion DogsPLOS ONE
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SiPPO Friends 編集部

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犬の飼い主のための情報を、海外の獣医学研究や公的機関の資料をもとにお届けします。

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